43. ひずみトーン、クリーントーン、ゴーストトーンの「タッチ」

STEP5 スティックの音と振動

実際に指の接触面積で剛性をコントロールする事で、どのくらいスティックの音が変わるのかを、次の動画で確認して下さい。

動画:練習台で剛性

その音って、練習台を叩いてるんだから、練習台が鳴ってるんじゃないの?

A.もちろん練習台を叩いているわけですから、練習台の音も少し出ています。 しかしこの動画では、なるべくスティックの音が目立つように「重量のある集積材の上に、ゴムパッドを貼り付けた練習台」を使っています。 そのため、重量の軽いスティックの方が強く発音しています。

本当は木製の練習台よりも、コンクリートや平らな石の上にゴムパッドを敷いて叩く方が、スティックの鳴りをより目立たせることが出来るんですよ!

いかがですか?スティック剛性をコントロールする事で、かなり出音が変わるのをご確認いただけたと思います。

これだけスティックの出音が変わるという事は、一つのスティックで、「何種類ものスティックを使い分けているのと、同じ効果」がある事に気付いて頂けたでしょうか?こんなに出音が変わっているのに、スティックの振り上げの高さがほとんど変わらなかったりするので、違和感を覚えた人も多いかもしれません。

これを、入校された生徒さんの目の前で行っても、「何かスティックに仕掛けがありませんか?」と言われてしまいます。ですので、生徒さんのスティックで、この実演を行うようにしているんですよ!どのスティックでも同じように、剛性で音色を変えることは可能なのです。(ただし音の質や変化の幅は、スティックの材質や形状によって異なります。)

この動画の一番最後に行っている方法は、ヴィニー・カリウタがよく行う方法です。 ニール・ソーセン氏(フレディ・グルーバーに30年師事している愛弟子)がK’s MUSICに来訪した際、この方法について聞いたところ、「フレディがヴィニーに教えた方法だ!」とニール・ソーセン氏は言っていました。

ヴィニー・カリウタも「意図的」に、スティック剛性をコントロールしているのですよ!

※正確なリズムを養うという名目で、「練習台を叩く時、メトロノームに合わせて叩いて、その音を消す」という練習を多くのドラマーが行っていますが、音の立ち上がりの問題から、どうしても「やや高めの普通剛性」になってしまう練習法だということに気付いていますか?(低剛性では、叩いてからやや遅れて音が立ち上がるため、ピッタリ合ってもメトロノームの音は消えません。)

上の動画で使っている練習台について…(2004/07/05 追加)

最近、『ドラミング無料相談』に「いったい、どういう練習台を使ったら、あんな音が出るのですか?」という質問を多く頂きます。

「集積材を使った…」等と書いたためか、上の動画で使っている練習台が「非常に特別なもの」で、「特別な練習台でないと、あのようなスティックの音の違いは出ない」という誤解を招いてしまったようです。

最近入校された生徒さんから「え!この練習台だったんですか!?」と言われることも多いのですが、スティック剛性による音の違いは、リアルフィール等の、どのような練習台でも出ます。

上の動画で使用している練習台には、タネもシカケもありませんよ!(笑)

STEP6 実際のバンド演奏で使えるの?

そんなこと言っても、ギター、ベース、キーボード等の音にマスキングされてしまう、実際のバンド演奏では、「そんなビミョーな違いが出るわけない!」と思い込んでいる人も、多いのではないでしょうか?

しかし、それはまったく逆なのですよ!
マスキングが大きくなればなるほど、他楽器の色々な周波数が混じるので、逆にその差が明確になってくるのです。

また、ドラム練習室より、大ホールになればなるほど、剛性の差が明確になり、実演奏に生きてきます。 逆に、せまいスタジオで何のマスキングもない「ドラムだけの状態」では、普通剛性にした方が良い音に聴こえてしまうので、注意が必要です。

現在の日本のドラム教育界で「音楽的」とされているタッチは、せまい練習スタジオ等では上手に聴こえるのに、音が響く大きなホールや、他の楽器音に大きくマスキングされてしまう、実際のライブやレコーディング等の現場になった途端に、「とても線の細いサウンド」になり、まったく通用しなくなってしまいます。その理由は、彼らの言う、「良い音」、「音楽的な音」の基準が、通常の演奏の状態とは遠くかけ離れている、「シーンと静まりかえった狭いスタジオ」で追求、研究されたものだからではないでしょうか?
これはドラムに限らず、ギターや鍵盤、管楽器のレッスンプロにおいても、まったく同様の人達が多いと思います。レッスンプロ同士が集まって、バンドを結成することが多いのも、彼らの音に対する考えや、価値観が近い所以でしょう。

「マスキング」って何?

A.簡単に言えば、1つの音が、他の音によって聴こえにくくなるマスク効果のことをいいます。 実際の演奏では、ドラム単体だけで演奏することはほとんどないので、常にギターや、ベース、キーボードetc,の音にマスキングされた状態になります。 タッチもそうですが、チューニングや楽器選びも、「マスキングされた状態で判断するべき」だと、K’s MUSICでは考えております。 静まりかえった狭いスタジオの中で、ドラムだけで「良い音」を追求してしまい、バンド演奏になったとたんに「何の存在感もない音」にならないように、気をつけて下さいね!

ではここで、「実際にマスキングされた状態」での、シンバルレガートの動画をご覧下さい。

動画:4ビート剛性

いかがでしょうか?冒頭で述べた通り、この音は、わずか「数千円のマイクで録音」し、それをさらに「1/30まで圧縮した音」です。

それを音楽を聴くにはとても適していない「パソコン用スピーカーから聴く」という「かなりの悪条件」にもかかわらず、その違いを分かって頂けたことと思います。(もしどうしても分からなかった場合は、もう少し良質のスピーカーに買い替えるか、パソコンのOUTから、オーディオに繋いでみて下さいね!)

練習熱心なドラマーほど、耳が「フレーズ」を聴く方にいってしまって、「音色」が本当の意味での興味の対象になりにくい、という傾向があるようですので、特に注意して下さいネ!!

音色の面白さや、重要性の本当の意味を感じられると、名演と言われる演奏も、もっと掘り下げて聴くことができますよ!

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