04. 呼吸法=内臓で叩く

呼吸と筋肉の関係については全く別のものと思われがちですが、脳の呼吸中枢が運動神経を介した指令先は呼吸筋という「筋肉」なのです。そこで今回は「呼吸法」についてです。

脱力,グルーヴ,ダイナミクスのコントロールからテクニックやフレーズの習得まで、全てが呼吸法でマスター出来てしまうと言ったら、驚かれてしまうでしょうか?国内で呼吸法を熟知して実戦応用できるのは、プロでもごく一部なので無理はないかもしれません。

今回は、最初の脱力コントロールについてのみ書きますので、参考にしてみて下さい。

全ての筋肉は酸素を主なエネルギー源としています。ドラム演奏上の「力み」は必要以上の酸素を呼吸によって肺(体内)に取り込んでしまうことに起因しています。分かりやすく言うと、体内の酸素量が上がると脳は筋肉に対して「力をもっと入れろ!」と命令してしまうのです。いくら力まないようにと練習しても力んでしまうのは、この理由によるのです。

また、息を一気に吐くのは良いのですが、吸うのが素人目にも判ってしまうような息の荒いドラマーは、自身でどんなに力を抜いているつもりでも、その人が宇宙人(?)の身体構造でもしていない限り、相当量の筋力が必要です。結果、たとえプロでも身体に無駄な筋肉がついたり、無意味な練習量につきまとわれてしまうのです。

解決策としては体内を無酸素状態に近くする呼吸法しかありませんが、バディ・リッチ他、海外の超一流といわれるドラマー達が共通して使う筋肉を使わない奏法を同時にマスターしないと、今度は酸欠状態になる恐れもあります。

内臓を使ってドラムを叩く=それが呼吸法なのです。

1996年6月

スティック レギュラーグリップ