19. パラアップ・ストローク

今回は人間の「本能」と「ドラミング」の関係についてです。

「叩く」=「手を高く構えた状態からすばやく振りおろす」という動作は人間の本能にすでに組み込まれた動きであり、人間が生活し文化や文明を築き上げるにも必要不可欠なものです。赤ん坊がわけもなく床やテーブルを叩いたりする理由も実はここにあります。

つまり、極論的に考えてしまえばドラミングの習得に「叩く」事を意識した練習など必要ないとも言えるのです。

ドラミングというものは一打叩いたらもう一度スティックを振り上げないと絶対に次の音が叩けません。ということは「適切なタイミング」でスティックを振り上げること(又はリバウンド)ができないと次の音を正確に叩けないという事です。この傾向はフレーズが速くなればなるほど、移動が多くなればなるほど強く表れてきます。

たとえ初級者でも「次の音をスムーズに叩くために適切な位置」に「適切なタイミングでスティックをすばやく振り上げる事」を連続できたら容易にドラミングを行えるものです。

叩く(すばやく振りおろす)事は本能で行えますが「すばやく振り上げる動作」は人間の本能の中には存在しない動きなのです。

皆さんも海外の超一流ドラマー達が共通して使う「パラアップ・ストローク」という「振り上げるタイミングをプログラミングしたストローク」をマスターしてみてはいかがでしょうか?

左利きドラムセットで叩く生徒さん

(写真の彼はパラアップ・ストロークをレッスン中の当スクール生、丸山“サウスポー”央介君です)

1998年11月