14. 円運動フットワーク
今回は、人間の身体にとって最も合理的な足の奏法についてです。
(写真の彼は当ドラムスクール生の山脇豊土さんです)
人間の足は骨も湾曲し、各関節も曲がってついているのですが、なぜか日本のドラマー界では「まっすぐついている」と誤解されているため、「写真A」のポジション(自分の正面にペダルを構えるポジション)で演奏されがちです。
しかしこれは、力の伝達を各関節によって妨げられるために演奏が自然体でなくなるポジションなのです。
「写真B」は、最も自然体で合理的なポジションを「人間の足の骨と各関節のつき方」から割り出したもので、ヴィニー・カリウタなどに代表されるポジションです。
「写真C」はペダルコントロールを足の小指側や側面で行うためのもので、デイヴ・ウェックルやデニス・チェンバースに代表されるポジションとなっています。
次は、オーバルモーション・フットワーク(円運動フットワーク)についてです。
「モーラーシステム」や「フレディグルーバー・システム」の基本的な奏法原理は第12回で説明しましたが、フットワークにも全く同じ物理的原理の奏法があるのです。
「写真1」の「レフトラウンド・ライン」は急ぎぎみに歩いたりするときなど、「写真2」の「ライトラウンド・ライン」はゆっくり歩いているときなどに人間が無意識的に使っている最も自然なラインで、他にも様々なラインが存在します。
海外の超一流ドラマーのフットワークは日常生活のなかで誰もが使う自然な動きを、オーバルモーション・フットワークによって生かしているだけなのです。
1998年3月