ドラム人間科学理論とは?

1993年3月
ドラム人間科学理論ドラム・スクール

主宰:小野瀬 健資

日本のスポーツ界に、スポーツ科学やスポーツ医学なるものが一般に知られるようになってから、早や10年以上になるが、このスポーツ科学の誕生のおかげで日本のプロスポーツ選手やオリンピック選手達のレベルは飛躍的に向上したと言って良い。

スポーツ科学誕生以前のトレーニング方法は、うさぎ飛びにも見られる様に根性,努力,気合いといった非科学的なものが実に多く、マラソンや水泳等の持久筋力が主となる分野ではまだ良かったのだが、瞬発力や俊敏性が問われ、求められるその他の多くの分野においては、全く世界のレベルでは無かったのだ。

当時のコーチ達は、筋肉の持久力トレーニングの方法と瞬発力トレーニングの方法が全く異なることすら知らずに指導を行っていたのである。

ところで、そんな観点から現在のドラム教育界を見渡してみると、スポーツ科学誕生以前の日本のスポーツ界に酷似しているのだ。

人間の身体構造を無視したフォーム論。スティックを振ることによって発生する慣性力や遠心力の物理を無視したスティックワーク論。人間の神経構造を無視した4ウェイ論。聴覚の死角に気付かずに唱えるリズム論。ドラムの基本的物理構造と反射音を無視したチューニング論等、例を上げれば実にきりが無いほど安易な考えによる理想論的なこじつけの“基本”が、当り前の事として堂々と幅を効かせているのが現状となってしまっている。

これでは、ある程度のレベルまでは上達できても、それ以上の上達が望めなくなってしまうのは自明の理であり、そんな壁に突き当たってしまっている上級テクニックレベルのドラマーも数多く見かけるものである。

そこで“ドラム人間科学練習法”の誕生である。ドラム人間科学とは、人体力学,感覚神経学,慣性,音響等の物理、そして東洋医学までをも総合した科学的ドラム練習法である。

一流と認められているドラマーの演奏は、今までの一般的な基本奏法とは全く異なる奏法で行われていることが多い。それもそのはずで、彼らはその本人が気付いている、いないにかかわらずドラム人間科学の基本で演奏しているからなのである。もし、彼らに一般的な基本奏法で演奏をさせたとしたら、実力の半分程度の演奏に終わってしまうのは物理上明らかなものでもある。

私は、このドラム人間科学を使用した教育法で、初心者からプロドラマーに至るまでの様々なテクニックレベルのドラマーを育ててきた。特に初級者や中級者においては、従来の教育法の1/3〜1/5の期間で上達してしまうという、めまぐるしいまでの結果となっている。

ドラム人間科学の目標は、すべてのドラマーに創造性と芸術性を発展させることができる、しっかりとした人体的、物理的基盤を提供することにある。


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