4月, 2000 | K's MUSIC ドラム人間科学理論

月: 2000年4月

  • 2000.04.01 皆さんは、ジェフ・ポーカロやヴィニー・カリウタなどの超一流ドラマー達のグリップを見て、不思議に感じた事はないでしょうか?彼らはスティックを握っているというよりも「指の先だけでつまんでいる」ようだったり、「手に吸いついている」ように見えたりするグリップが目立つのではないでしょうか? これは「支点移動グリップ」というもので、スティックと指の間に“特定な支点箇所を作らない”ためのグリップです。 物の道理として、支点を作って力をある場所(打面)に加えた場合、その「反作用」として支点にも「同じ力」が必ずはね返ってきます。ですから機械工学などでは、支点箇所を増やして構造を複雑にしてまでも「反作用によって起こる反発力を分散させる技術」が常識として使われています。 この道理と全く同じくして、超一流ドラマー達のグリップは、スティックを振り上げた時と振り下ろした時では「支点箇所がそれぞれ異なっているため、持ち方(グリップ)まで変化している」…つまり「その時々の振り幅やスピード」によって起こる、「慣性力だけに任せた支点移動」を常に繰り返してスティッキングを行なっています。 それにより、腕の重さと慣性力を打面側に伝えやすくなり、音楽的な様々な音色と音圧をも同時に表現出来てしまうのです。 この瞬間的に行なわれる一連の動作は、約1/50秒という短時間で行なわれているためにビデオ等での習得は殆ど不可能ですが、肉眼なら習得可能です。 この機会に超一流ドラマー独自のグリップ原理について、今までの先入観や思い込みを取り払って、もう一度見つめ直してみてはいかがでしょうか。

    支点移動グリップのための3つの基本グリップ

    ホールドグリップによるショット 〜ダウンストローク,タップストローク(P),アップストロークに対応〜

    ホールドグリップ スティックと手の角度赤線に注目!手の甲のラインよりもスティックが下方に向いているため、スティックの力が打面のある下方に向かう。良い見本としては、ジェフ・ポーカロのビデオなどが比較的わかりやすい。
    ホールドグリップ 悪い例

    写真1

    通常、写真1の状態になりやすいので注意しよう。こうなってしまうと、スティックの力は前方に流れてしまうのだ!

    オープングリップによるショット 〜フルストローク,タップストローク(mf),アップストロークに対応〜

    オープングリップ スティックと手の角度これも赤線に注目!手の甲のラインとスティックがショット時に平行になるのが基本。これもスティックの力を下方に向かわせるためである。 ビデオでは、スティーヴ・スミス等が比較的分かりやすい。

    イナーシャグリップ 〜スティックのリバウンド時に対応するグリップ〜

    イナーシャグリップ スティックと手の角度リバウンドのためのグリップ。けっしてこのグリップでショットは行なわない。海外の超一流ドラマー達のほとんどがこのグリップをマスターしており、デイヴ・ウェックル,ヴィニー・カリウタ,スティーヴ・ガッド等のビデオを静止画にすると確認出来る。 写真はリバウンドした瞬間を捉えたもの。リバウンドの力がスティックのみにかかっているため、手首がまだ返っていない点にも注目。

    2000年4月