49. STEP5 パラアップストローク(セットドラミングモーラー)

STEP4ではゴスペルドラミングに必須のタップコントロール法「ハイヴォリューム・タップ」について解説しましたが、今回このSTEP5では肩と肩甲骨を使った奏法“パラアップストローク”をご紹介致します。ゴスペルドラマーに限らず一流ドラマー達が実践している「振り上げるタイミング」に特化した奏法です!

SECTION 1 ドラミングの習得に「叩く練習」は本来必要ではない!?

突然ですが、

  • テンポが速くなると、セット間の移動がスムーズに行えなくなり、ギクシャクした演奏になってしまう。
  • 練習台やスネアでは容易に叩けるフレーズが、タムやフロアになるとタッチが潰れて極端にパワーも落ちてしまう。
  • ハイテクニックなプレイになると、手順を追う事に精一杯になり、ダイナミクスやタッチのコントロールがほとんどできなくなってしまう。

皆さんは、このような問題に直面した際、どんな事を意識して練習に取り組んでいるでしょうか?「いくら練習を続けても出来る気がしない」と諦めてしまっている方は、もしかしたら“叩く感覚だけ”に注意がいきすぎているのかもしれません。それは具体的にどういう事なのか、まずはこの動画をご覧下さい。

動画:振り上げるタイミングとは

いかがでしたか?

「改めて考えてみると、振り下ろすタイミングはとても意識してるけど、振り上げるタイミングや位置については、ほとんど意識せずに叩いていた!」という方も多いのではないでしょうか?

これはなにも初心者に限った話ではなく、中・上級者やドラム講師・そしてプロドラマーでも、スティックを振り下ろすタイミングだけに意識がいき膨大な時間を費やして、基礎練習やウォーミングアップを行っている方が非常に多いのです。

その膨大な練習時間の中で、「上手く叩けるようになってきた♪」と感じるような時は、振り上げるタイミングが以前より少し良くなったというケースがほとんどなのです。

ですから、逆のアプローチで、適切な場所に適切なタイミングで振り上げる事が出来れば、激しいプレイ等も容易に行える、というわけです!!

但し、やみくもに腕を速く振り上げようとすると、腕・肩・背中に極端な力みが入り数回動かしただけで疲れてしまいます。

また、その状態のまま無理して振り上げ続けていると、肩関節や背骨等に大きな負荷が掛かって身体を痛める原因にもなります。

ですから、身体のどこにも負担を掛ける事なく、腕を連続して素速く振り上げる事の出来る、パラアップストロークを習得しましょう!

SECTION 2 腕を振り上げるタイミングを見直そう!

では早速パラアップストロークの具体的な解説に入っていきましょう。

パラアップストロークをマスターするための第一歩は、正確な振り上げのタイミングを脳と身体に記憶させる事です。ここでは、ダブルストロークを例題にして正確な振り上げのタイミング、間違った振り上げのタイミングを、詳しく解説します。

こちらの動画をご覧下さい↓

動画:ダブルストロークでの対比

この様に、タブルストロークを速く叩くためには左手は1打目と同時・右手は3打目と同時に振り上げなければならない!という事がおわかり頂けたと思います。

「でも、一般的な練習法でやっても、もっと速く叩けるよ!」と思った方も、中にはいるかもしれません。では、続けてこちらの動画もご覧下さい↓

動画:一般的なダブルストロークの振り上げ

確かに、練習台やハイピッチのスネアといった、張力がかなり高い楽器を使えば、この方法でも速いダブルストロークを叩く事が出来ますが、ローピッチのスネア、タ厶やフロアといった張力の低い楽器を、実演奏でも使えるようなヴォリュームで速く叩く事は物理的に不可能です。

それでは、一般的なダブルストロークの練習法で、タムのパワーを落とす事なく叩こうとすると、どの位の速さまでなら対応できるでしょうか?

こちらの動画をご覧下さい↓

動画:振り上げのタイミングを間違うと…

いかがでしたか?

結局、一般的な練習法の振り上げのタイミングでは、どんなに頑張っても、“片手で連打が出来る程度の速さまでしか叩けない!”という事がおわかり頂けたと思います。
(この振り上げのタイミングでは、バディ・リッチやアーロン・スピアーズのような超一流ドラマーがやっても、同じような結果になってしまいます。)

「ゆっくりから速く」する練習法について

ダブルストロークに限った事ではありませんが、よく「ドラムはゆっくりから速く練習するのが基本」と言われます。しかしこれには注意点があって、ゆっくり練習する時に間違った振り上げのタイミングを脳や身体が覚えてしまうと、速い時にギクシャクしてしまい、結局速い時の振り上げを再度覚え直さなくてはなりません。これでは二度手間になりドラムの上達の足かせになってしまいます。ですので、ゆっくりから練習する時は、必ず速い動きを想定して練習して下さい♪

※パラアップストロークの概念&本能の動きとドラミングについてはドラミングアドバイス第19回もご覧下さい。

振り上げるタイミングとその重要性が理解できたら、次はセット応用のためのレクチャーに進んで行きましょう!

NEXTドラムセットは肩を動かさないと絶対に叩けない!!