40. ボディショット奏法

(2003/08/12アップ。12/29動画ファイル関連を改良。2004/02/29微改良)

前回の「ショルダームーヴ奏法」では、胴体を有効利用する奏法の中でも比較的分かりやすい「肩」を使った奏法の原理と意味を解説しました。今回は「胴体奏法シリーズ第2弾」として「骨盤」や「股関節」の動きを利用した奏法を紹介します。

さて、本題に入る前に、お願いです。前回、海外の超一流ドラマーのライブ演奏ビデオ等を見るときに「音を消して」見るという「実験」をお願いしましたが、実際に試して下さいましたか?

くどいようですが、「目でスティックや手首の動きを追う」見方はとりあえず止めて、スティックや手首より「指」に、指よりも「ヒジ」に、ヒジよりも「肩」に、更には今回のテーマである骨盤(お尻や腰)をよぉ〜く観察してください!

なぜなら、ここから先に書かれている事は、ご自身の目でビデオを見直して、海外の超一流ドラマー達が確かにその動きを行っているのを確認しない限り、ほとんどの日本人ドラマーには絶対に信じられない話だと思うからです。

ご面倒でも、この先を読む前に、「お尻や腰」に注目してビデオを見直してみて下さい。ビデオを見もせずに「信じられない」と言ってしまっては、なにより貴方自身が損をする事になってしまいますよ!

(注:教則ビデオ等の“レクチャー場面”ではなく、あくまでも“実演奏の際の身体の動き”を見て下さい)

STEP1 ビデオを見てから(あるいは見ながら)読んで下さい。

さあ、あなたの好きな海外の超一流ドラマー達のドラミング中のお尻や腰は、どのように動いていましたか?微動だにせず、日本で言うところの「正しい姿勢」で叩いていたドラマーはその中にいましたか?いませんよね(笑)

黒人のドラマーは背筋をピンと伸ばしているけど?

A.黒人や女性は骨盤の基本位置が前傾している人が多いため腰椎が前に押し出され、結果として「背筋をピンと伸ばした正しい姿勢」で演奏しているように見えてしまいます。

けれども、「背筋を伸ばす」代表選手のように言われるオマー・ハキムもボディショットを多用しますし、その時にはしっかり骨盤が動いて背中も丸まっています。ビデオをもっともっと細かくチェックしてみてください。

実際には、表現やテクニックが高度になればなるほど、また、大音量になればなるほど、お尻や腰が動いていたと思います。これは彼らが、骨盤を動かす事でスティックワークを行う「ボディショット」という奏法によって演奏を行っている証拠でもあるのです。

今回はこの「ボディショット奏法」を行うにあたって「骨盤」と「股関節」がどのように使われるのか、その原理と意味を解説していきましょう。

ところで、一口に「骨盤」「股関節」といっても、殆どの方は、その形や位置をハッキリとはイメージ出来ないのではないでしょうか?それぞれの場所や役割を正しく知って活用しないと、すぐに腰痛などの身体の故障に繋がってしまいます。まずは骨盤や股関節の位置や形を正しく知る事から始めましょう。

NEXT再確認!骨盤と股関節の構造