50. STEP6 ドラマーのための古武術 人体力学

SECTION 2 本当に使えるモーラーの波

日本で流行っているモーラー奏法は、「クネクネしている」「ダラダラしている」「音にエネルギー感がない」というイメージが強く、「モーラー奏法はやりたくない!!」と感じている方も多いようです。しかし人体力学を体得し、モーラー奏法に応用できれば、不必要にクネクネしないで、音にエネルギー感や爆発力を出すことも可能になります。
では“本当に使えるモーラーの波”とはどういうものなのか…。
こちらの映像をご覧下さい。

動画:クネクネせずとも強力な波の力を生む人体力学モーラー

いかがでしょうか?
「演奏者の動きがクネクネしている=波が伝わっている」というわけではなく、映像で見て頂いた坂野上の動きくらいの方が、実際は波が伝わるのです。

本当に使えるモーラーの波は、最小限の動きで、最大限のエネルギーをドラムに伝えることができます!!

♪K’s MUSIC初回レッスン恒例の人体力学を使った遊び♪

腕立て状態から持ち上げる

指一本で波の力をかける

片手で身体ごと引っ張る

全力で腕を伸ばし合う

K’s MUSICでは、これらの「人体力学」を初回レッスンで必ず全ての生徒さんに体験してもらい、入校後は手取り足取りマンツーマンで指導し、生徒さん自身のドラミングを劇的に改善してもらっていますが、この古武術で使われる身体操作法である人体力学は、筋トレによって身体を鍛え身につけていくものではありませんし、勿論K’s MUSIC講師陣も誰一人筋トレをやっていません。
また、直接ドラムとは関係のない武術の「技」の部分(相手の急所を攻める、関節をキめる、力のベクトルを操作して倒すetc.)もこれらの動画では全く使っていません。

ドラムに使うためには技ではなく、チカラの出し方の原理を覚える必要があります!!

人体力学ってどこで生まれたの?

A. 人体力学は格闘術に使う目的として古代中国で生まれました。筋肉に頼らない合理的な身体の動かし方」を体系化したもので、古来の戦人達は充分に体力がない過酷な状態でも戦い続けるために、 筋力に頼らず身体を使いこなすための修練をし、磨いていきました。 本来は体操や整体法など身体を整えるためのものではなく、強い力を生み出す術理の事です。(詳しくはコチラもご覧下さい)

SECTION 3 “力を入れる” と “力を出す”

皆さんは「」というと「力を入れる」という言葉を思い浮かべると思いますが、力の使い方には“力を入れる”と“力を出す”という2通りの方法があります。

そして、特別な訓練を受けていない限り、ほとんどの方が“力を入れる”という身体の使い方をしています。しかし、人体力学ではもう一つの方法“力を出す”という身体の使い方を重視します。(古武術というと「脱力」に注目がいきがちですが、“脱力した上でしっかり力を出す”という事が大変重要です。)
この2つの力の使い方は、一体どのように違うのか?
こちらの動画をご覧下さい。

動画:脱力と力の相互作用

脱力を意識するのは良いですが、安易に力を抜いてリラックスして叩いては「腑抜けドラミング」になってしまい、音圧や音のエネルギー感を犠牲にしてしまいます。
脱力を意識しすぎて、音色やタッチに意識がいかなくなってしまっては、本末転倒です。
“本当に使える脱力”はラクになるのはもちろんのこと、
自分の作り出したエネルギーをドラムに最大限に“伝える”=“力を出す”ためのものでもあるのです。
(※ 力を出せたからといって、身体が故障することは一切ありません。)

SECTION 4 力の出し方の基本

力の出し方の基本は、“足の裏”から順番に動いていくということです。(ドラムは座りながら動くので座骨から動いていく場合もありますが、連動で言えば、足の裏から動きます。
だからといって、単純に足の裏から動いても残念ながら達人のような“力の出し方”は手に入りません。

身体のどの部位のどの場所を連動させて動くかという武術でいうところの
「奥義」
その時に意識をどこに置いて動くかという武術でいうところの
「極意」
がとても重要になってきます。

この事を、
西洋ではインナーマッスル筋膜
東洋ではツボ経絡
と言ったりします。

そのことを理解して頂いた上で、次に全身の連動を覚える際、非常に大事になる要素の一つ「腱」の解説に進んで行きましょう!!

NEXT腱ってナニ?