42. フリーグリップと、しゃっ骨&とう骨
STEP2 スティックをもってみましょう!
次に、しゃっ骨・とう骨の回転でドラミングを行うための、具体的なグリップについてです。
次の写真をご覧下さい。
よく教則本等で 見られる グリップ |
フリー グリップ |
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フレンチ グリップ (手の平側から撮影) |
※ちなみにバディ・リッチは、このグリップをアメリカン、ジャーマン、逆手にも使います | |
アメリカン グリップ |
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ジャーマン グリップ |
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特 徴 | 骨格を考えず、ただ腕のラインに真っすぐにするため、手首が不自然に曲がってしまい、回転運動は不可能になる。 | しゃっ骨・とう骨の回転は、しゃっ骨が軸となるため、小指側を真っすぐにする。 |
フリーグリップと骨の関係は以下の通りです。
けっして、これらのグリップを“難しい”グリップと思わないで下さい。なぜなら、力を抜いて手首を自然体にしてスティックを持てば、結果的に、こういうグリップになるのですから。
難しいと思うのは、すでに日本の多くのドラマーが間違った方法に毒されてしまっているからではないでしょうか?まずは今までの間違った先入観を捨て去りましょう!
日本的奏法にご用心
まずは、このような考え方を改めることから始めて下さい。人間はロボットではありません。もっと複雑な構造をしているからこそ、人間らしい、しなやかで優しい動きが出来るのですよ!アームショット、リストショット、フィンガーショットなどのように、別々に分けて考えられないのです!
繰り返しになりますが、日本的奏法のように、ひじの屈伸運動で叩いてしまっては、しゃっ骨・とう骨を利用する事もできませんよ。
どうして上の図と写真のように考えてはいけないの?
A.物の道理として、支点を作ってある場所(打面)に力を加えると、その「反作用」で、支点にも「同じ力」が必ずはね返ってきます。ですから機械工学などでは支点箇所を増やして構造を複雑にしてまで「反作用によって起こる反発力を分散させる技術」が常識として使われています。
高速でピストンが上下動する自動車等のエンジンでは、エンジン内部の支点箇所が少なくなってしまうとパワーが上がりません。F1に代表されるスピードを競うレーシングカーでは、エンジンもサスペンションも支点箇所を増やして慣性の影響を受けなくさせる技術が当然として使われています。しかし、パワーショベルのような支点箇所が少ない機械は、ゆっくりと大きな力は出せても、素早く動かす事は絶対に不可能です。
さて、しゃっ骨・とう骨の回転で叩くグリップの代表例を上げましたが、ここで思い出して欲しいのが、前回の内容にあった、「スティックと手にかかる慣性モーメントを最大限利用するためには、ワンモーションの中でも(一打単位でさえ!)手の形は必ず変化する必要がある」ということです。
ですので、今回紹介した写真の形を死守(?)して叩くなどという勘違いは、けっしてしないで下さいね!