44. リバウンド・フットワーク&スプリング・コントロール

STEP5 足首って?

「スプリング・コントロール奏法」も「リバウンド・フットワーク奏法」も、足首の使い方がキーワードになってきます。

ではその足首の構造について、もう一度見つめなおしてみましょう。

人間の足首はこのように、「シーソー」のように動かせるようにできています。

このような人間は絶対に存在しません!

よく、「カカトを支点に足首を動かす」というセミナー記事も見かけますが、上の図のように、カカトには支点となる関節など、どこにも存在していません。

ですからつま先が上がる時はカカトが下がり、カカトが上がる時はつま先が下がるという、一種のテコの原理になっているのを知っていましたか?これに気づかず、踏み込む際に無理してカカトを支点にしようとして、足が痛くなってしまった人も多いのではないでしょうか?

つまり足首を動かす際、

こうではなく

このように動かせば、どこも痛くなったりせずに、 スムーズに足首は動いてくれるのです。

また、その足首を動かす際、「スネやフクラハギの筋肉が必要」と思っている人が多いようですが、実はここで大事になるのが、足の裏の靭帯や腱なのです。

「靭帯や腱を使ってペダルなんて踏んだら、断裂しちゃうんじゃないか?」という誤解をしている人もいるそうですが、靭帯や腱ってものすごく強いって事を知ってましたか?

以前のドラミングアドバイスと重複しますが、もう一度よ〜く考えてみて下さい。

足首イラスト我々人間は生活する上で常に歩いています。その歩くという動作を別の言葉でたとえると「自分の全体重が片方の足首にかかった時にその足首を伸ばす動作」とも表現できます。

たとえば体重60キロの人が歩くとき、瞬間的に60キロ以上になる体の重さが片方の「足首」にかかっているのですが、特に重さや疲労を感じてはいないはずです。

ドラム演奏時におけるペダリングも同じく足首を伸ばす動作であるはずなのですが、わずか体重の何十分の一の重さしかないドラムペダル(フットボードの踏力は通常2〜3キロしかありません)を踏むためにトレーニングをしたり、演奏時に疲労や痛みを感じるなんて、とても変な話ではないでしょうか?

大変多くの方が「非日常的なフットワーク」、つまり人間として「日常的に使っていない足首の伸ばし方」になっているようです。

足裏イラスト

人間の通常歩行は主に足首まわりの「靱帯」や「腱」という「筋肉とは別の役割を持つ部分」を主に使って歩いているのです。

全体重がかかった足首を伸ばしても重さや疲労を感じないほど、靭帯や腱は“超力持ち”なのです!

「歩く」「またぐ」などの「日常的で最も自然な足首の動作」をフットーワークに取り入れたものが「自然体奏法であり正しい奏法」なのではないでしょうか?

ドラミングだけに必要な筋肉(非日常で使うための筋肉)をわざわざ鍛えるよりも、普段歩いているときの“日常的な動きの感覚”で演奏できたら大変楽ではないでしょうか?また、この方法は超一流ドラマーであるバディ・リッチやデイヴ・ウェックル,ヴィニー・カリウタなどに代表されるフットワークです。

※ここで言う「自然体奏法」とは、よく言われている「脚を持ち上げて落とすだけ」というものとは、根本的に違います。
「脚を持ち上げて落とすだけ」と「言葉」で言われると、いかにも自然な感じを受けてしまいますが、その実態は「たった一曲の演奏で、数100回〜1000回前後も、脚を持ち上げなさい」という筋肉エクササイズです。「モモ上げ100回!!」でも苦しいのに、一回のバンド練習で、1万回以上も脚を持ち上げなくてはならない奏法について、どう思いますか?勘違いせずに読み進めて下さいね!

一番最初の動画では、靭帯や腱を使い、足とプレートの接触面積を必要最小限にする事で、連打の最中という本当に短い時間の中で、可能な限りリバウンドを起こし、あのような高速プレイを行っているのです!もちろん、身体のどこかが痛くなったりなどという事も、全くありません。

人体力学トリビア:「足の裏」が下半身と脚のスイッチ

実際、足首や足裏まわりの靭帯や腱について、意識した事がない人も多いと思いますので、少し説明を加えておきます。

それでは、まず立ってみて下さい。その時、多少“足の裏”に力が入っているのを、誰でも確認できると思います。次にその状態から、足の裏の力を完全に抜いてみて下さい。

いかがですか?立った状態で足の裏から力を抜き去ると、フトモモやフクラハギ等の筋肉から力を抜いたつもりが無くても勝手に力が抜けて、いきなり、しゃがんでしまいませんか?(わかりづらい人は、立った時に、少し膝を曲げて、やってみて下さい)

つまり、足の裏の靭帯や腱は、「足と脚全体を動かすスイッチ」の役割を持っているのですよ!!

今度は実際にドラムを演奏するつもりで、ドラムイスに座って下さい。そしてさっきの様に、足の裏の力を完全に抜いてみて下さい。どうでしょう?今度は何も変化が起こらなかったのではないでしょうか?ですので、立っている時には誰でも使っている足の裏の靭帯や腱を、イスに座った途端に、「全く使わなくなってしまう人が非常に多い」のです。

確かに、ただ座るだけなら、靭帯や腱を使う必要はありません。しかし私達ドラマーは、イスに座って常に足を動かさなければならないのですよ。それなのに、足裏のスイッチを「OFF」にしていまい、完全に座り込んでしまう人が非常に多いのです。ですから、日本的フットワークを行うドラマーさん達は、スネやフクラハギやフトモモの筋肉を使わざるを得なくなっているのですよ!

ドラマーは、ドラムイスに座った時には、立っている時のように、足の裏の靭帯や腱のスイッチを「ON」にしておく必要があるのです。また、「足の裏の靭帯や腱」は「大腰筋、腸腰筋」等と繋がっていますので、ボディショットを行う際にも、まず足の裏の靭帯や腱を先に反応させなくては、「腰」も入れる事はできないのです。

では、BPM220の『両足のダブルストローク』を、靭帯や腱で行っている動画をご覧下さい。

動画:足のダブルストローク

いかがですか?ちなみにこの方法は、バージル・ドナッティの行う足のダブルストロークの方法とは、根本的に異なっています。バージル・ドナッティはスネ、フクラハギ、フトモモの筋肉などを中心にダブルストロークを行っていますが、K’s MUSIC講師の喜納は、足首や足裏まわりの靭帯や腱、そして脚の股関節を有効に使う事で、足のダブルストロークを可能にしているのです。

最後に

それでは最後に、もう一度すべての動画を見て分析し、実際にご自分でチャレンジしてみて下さい。

『スプリング・コントロール奏法』も『リバウンド・フットワーク奏法』も、小中学校の理科で考える事のできる人なら、誰もがその仕組みを理解できてしまうほど、簡単な理論です。ですから、ここまでの内容が本当に理解できていたら、動画の分析ぐらいはできると思いますよ!ただ読むだけで、「できているつもり」や「わかっているつもり」になって終わってしまっていては、本当にもったいないですよ!(実際、K’s MUSICの入校当初に、無意識でできていた生徒さんは、たくさんのプロの方々の入校者を含めても皆無に等しかったくらいですから・・・)

今回の内容が、「足が速く踏めない!」「バスドラのパワーが出せない!」「足や腰が痛い!」「バスドラで遠近感が出せない!」等、フットワークで悩んでいる人の役に立てたならK’s MUSICとしても非常に嬉しく思います!

何度も読んで、また動画も参考にして、ぜひご自分のプレイに取り入れていって下さいね!

今回はペダルと足周辺に「限定」して説明しましたが、足の靭帯や腱は、骨盤や股関節や大腰筋、重心と切り離して考えることはできません。結果として「股関節や骨盤を使った足モーラー奏法へと発展」していくのです。それは今後のドラミングアドバイスで詳しく解説していきたいと思いますので、どうぞご期待ください!

※最後に、注意点を挙げておきます

  1. 超高速フットワークを行うための『リバウンドフットワーク奏法』については、モーラー奏法の『肩の動き』を『股関節に置き換えている』ため、手腕のモーラー奏法ができていないとマスターできません。ですので手腕のモーラー奏法を確実にマスターしてから、リバウンドフットワークの練習をするようにして下さい。
  2. 『スプリング・コントロール奏法』や『リバウンド・フットワーク奏法』を練習する際、必ず足裏や足首周辺の靭帯や腱を先に反応させるように心がけて下さい。
    ただし、靭帯や腱にスイッチを入れたまま、日本的奏法のように、スネやフクラハギやフトモモの筋肉を中心に足と脚を動かしてしまうと、かなりの確率で筋肉痛や関節炎、もしくは腰痛になってしまいます。ですので筋肉自体は極力、脱力した状態で練習するようにして下さい。
    もしどこかが痛くなったりした場合は、靭帯や腱よりも先に筋肉を反応させてしまっている等の原因が考えられますので、すぐに練習をやめ、やり方を改めてください。むやみに練習を行って、身体を壊したとしても、K’s MUSICは一切責任を負いかねますので、ご了承下さい。

K’s MUSICから、ドラマーの皆さんへ

皆さん人それぞれ「憧れのドラマー」がいると思いますが、
「自分には無理だ」とあきらめてしまっている人はいませんか?

ですが、彼ら超一流ドラマー達も、普通のアマチュアドラマーさん達も、
生理的限界に、差はありません。

彼らが特別なのは、超一流ドラマー達だけに共通する
身体の動かし方や、その動かす時に使っている部位、呼吸、
そしてスティックや、ペダル等の
コントロールの仕方が、一般ドラマーとは根本的に違っているからなのです。

スティックワークにしても、グルーヴにしても、今回のフットワークにしても、
繰り返しになりますが、“生理的限界に差は無い”のですから、
あきらめたりせずに、彼ら超一流ドラマー達と同じ方法を試してみませんか?

K’s MUSICドラム人間科学理論は、
そういった超一流ドラマー達だけに共通する法則の宝庫です!