36. モーラー奏法の注意点

3. 応用モーラー奏法とは何か

バディ・リッチ,ヴィニー・カリウタ,スティーヴ・スミス,デニス・チェンバース,ニール・パート,デイヴ・ウェックル等々、海外の超一流ドラマー達は演奏時のほとんどをモーラー奏法でこなしています。しかし現在入手可能な文献からは、その「事実」を理解し「説明」することは不可能でしょう。

おそらく、それぞれのドラマー達が「全く別の奏法」で演奏をしているようにしか見ることができず、むしろモーラー奏法よりも今までの日本的奏法と近いものに見えてしまうという方も多いのではないでしょうか?

つまり、応用モーラー奏法とは、日本的奏法のようなスティックラインや腕のモーションを見た目で捉えたものではなく、「物理的原理を最優先して行なっている奏法」と言えます。

4. 日本的奏法とモーラー奏法の共存

最後に、従来の日本的奏法で長年練習してきた人達へのアドバイスです。

「モーラー奏法」と、国内で独自の発展を遂げてしまった「日本的奏法」では、その物理的原理があまりにかけ離れすぎています。つまり、日本的奏法とモーラー奏法の共存は物理的に不可能なのです。

したがって日本的奏法にモーラー奏法を取り入れようとする練習は、従来のような「勘違い奏法」をまた生み出すだけで、時間とお金が無駄に費やされてしまう結果になります。

現に「モーラー奏法は音がまとまらない」「身体に負担がかかる」「腕をひねる動きが老体にはきつい」という“苦情”も耳にしています。これはモーラー奏法と、原理の全く違う日本的奏法を混在させようとした当然の結果でしょう。

真剣にモーラー奏法を習得したいと考えているのならば、奏法改革を成し遂げたデイヴ・ウェックルでさえそうであったように「スティックの持ち方」から再度やり直すこ とをお勧めします。

従来の奏法では成し得なかったプレイを「容易」にし、テクニックにとらわれずに「音楽をより感じる」ことを可能にするモーラー奏法の恩恵を授かるには、今までの理想と価値観を全て捨て去る勇気が必要です。

2002年5月