32. アレクサンダー・テクニーク
デイヴ・ウェックルをはじめ、スティーヴ・スミスやニール・パートが現在でもフレディ・グルーバー氏に師事し、ドラミングにおける身体の動かし方のレッスンを受けていることは有名な話です。しかし彼らのような名高いドラマー達がなぜいまだにレッスンなど受けなくてはならないのかと不思議に感じている方も大勢おられるでしょう。
一流のスポーツ選手は「理にかなった動き」を必ずしているものです。音楽とスポーツではその目的こそ異なりますが一流の人は一流の人達だけに存在する「ある独特な身体動作」(主に背骨や肩甲骨や横隔膜などの動き)を必ず体得している点で共通しています。
スティーヴ・スミスの話によると、フレディ・グルーバー氏は「人間の身体動作とそのメカニズムについての知識」にすぐれ、現在はその理論をゴルフなどのスポーツ分野にも転用しているとのことです。
(しかしドラミングにおいての原理的な「たねあかし」は簡単にはしてくれないそうですが…)
ところで海外では一流の演奏家だけに共通する「独特な自然体」に注目し、音楽表現をより高いものにするための身体活用を目指した「アレクサンダー・テクニーク」という大変すぐれたメソッドが、すでに50年以上も前に確立され、実践もされていることを皆さんはご存知でしょうか?
アレクサンダー・テクニークは主に海外に多くの指導者がおり、オハイオ州立大学音楽部やジュリアード音大他、各地で多くの実績をあげています。
そこで今回はアレクサンダー・テクニークに関する書籍をご紹介致しますので是非一度文献等お読みになってみてはいかがでしょうか。
ドラマーだけでなく、全ての演奏家にとって豊かな音楽表現を具現化する非常に有効な手段となるでしょう。(アレクサンダー・テクニークはドラム人間科学と共通した理論を保有しています)
アレクサンダー・テクニーク関連書籍 (*=K’s MUSICのオススメ)
音楽家ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと *
バーバラ・コナブル 著 / 片桐ユズル・小野ひとみ 訳 誠信書房 / 2000年 2,000円
アレクサンダー・テクニークを音楽演奏に応用するためのわかりやすい入門書
人間の身体の構造と動きについての正確な情報(ボディ・マッピング)を知り、感覚的な識別力と反応能力を高める書。
ボディー・ラーニング *
マイケル・ゲルブ 著 / 片桐ユズル・小山千栄 訳 誠信書房 / 1999年 2,300円
わかりやすいアレクサンダー・テクニーク入門
文章と写真の組み合わせによって、左右両脳で理解を深め、日常生活、職業生活、創造生活のあらゆる領域における「学習」の仕方を学び能力を高める書。
アレクサンダー・テクニークの学び方
B・&W・コナブル 著 / 片桐ユズル・小山千栄 訳 誠信書房 / 1997年
体の地図作り
人間に備わっている生来の素晴らしい能力を取り戻してくれるアレクサンダー・テクニーク。体についての誤った認識を正し気づきを高め、心身を自由にして柔軟性と調和を回復するためのマニュアル。
アレクサンダー・テクニークにできること
D・キャプテン 著 / 芳野香・和田実恵子 訳 誠信書房 / 1999年
痛みに負けない「からだの使い方」を学ぶ
本書では腰痛・関節炎・肩こり・座骨神経痛などの全身に現われるしつこい痛みと症状への対処と予防を通して「からだの使い方」を学び・さらに豊かな心身の調和への扉を開く。
アレクサンダー・テクニーク
W・バーロウ 著 / 伊東博 訳 誠信書房 / 1989年
姿勢が変わる・からだが変わる・生き方が変わる
からだ全体の調整法、健康法、および姿勢術の原理と技法を紹介。頭、頸、脊椎などを中心とする「からだの使い方」の調整により有害な緊張の習慣を取り除いていく。
2001年1月