21. スピード・フットワーク

当ドラムスクールのドラミング無料電話相談室には「バディ・リッチやデイヴ・ウェックルなどのフットワークを見ると、ひざを上下にあまり動かさないで左右にブレさせる様にやっているのは何故ですか?」とか「ひざを左右に動かしているのに、どうして彼らはフットペダルが踏めるのですか?」という質問も寄せられて来ます。

そこで今回は円運動フットワークについてです。円運動フットワーク(オーバルモーション・フットワーク)とは、手で行う「モーラー奏法」や「フレディ・グルーバーシステム」の原理をフットワークに応用したもので主に超一流と言われているドラマーのフットワークに多く見受けられます。

この奏法はひざを左右にブレさせているように見えるのが特徴です。しかしこれは“股関節と足首を同方向に回転させているため”で、「腰内の内臓筋」と「脚の裏の骨格筋」のコントロールがポイントになっているからなのです。

EX-1はシングルペダルで行う「テンポ140&7連打&メゾフォルテ」のフットワークエクササイズです。

スピード フットワーク 譜面

EX-1

このフレーズに「スライド奏法」を用いてもメゾフォルテでは4〜5連打までが限度でしょうし、「ヒールアップ奏法」では連打は出来ますが、このテンポでパワーを出すためには100キロ級の体重が必要でしょう。

また、「アップダウン奏法」を用いればメゾフォルテのパワーは出せますが、テンポ140に達するには“腹筋や大腿部の筋肉をかなり酷使してしまうため”に腰痛などに悩まされてしまう恐れがあります。

しかし「円運動フットワーク」を用いれば、ほとんど筋肉を使わずにEX-1のフレーズを行う事ができるのです。その上、フットペダルに特別な改造をする必要も一切ありません。

バディ・リッチやデイヴ・ウェックルなどが回転運動を基本としたフットワークを行う理由は、地球の1Gという重力を最高度に有効利用するため、「足用モーラー奏法」を使っているからなのです。

1999年3月