13. 練習方向を考えよう
海外の超一流ドラマーが演奏している「曲」を聴いてみてください。フレーズやパターンを聴くのではありません。そのドラマーが唄おうとする歌と他プレイヤーとの「調和」を聴くのです。彼らのうねりのある演奏力は、あなたの回りの友達や先輩ドラマーのタイプとは根本的に違うもののはずです。
周りの人と同じ様な方法でいくら練習しても、そこから飛び抜けるのはとても難しいのではないでしょうか?また、練習熱心なドラマーほど、ルーディメンツや難解フレーズのクリック練習主体で、表現力がおろそかになっているようにも感じます。
プロ音楽業界が求めているのは「ドラマーとして優れたドラマー」ではなく、「ミュージシャンとして優れたドラマー」なのです。
表現力を身に付ける第一歩としてまずは、個人練習の時の「ドラム音」よりもバンドの音にマスキングされた「ドラム音」を中心として考え、その音色をもっと良く知る事から始めてください。
次に、アクセントやクレッシェンドは、バンドメンバー全員がびっくりするほど極端なものから、誰も気が付かない細かいニュアンスのものまで何回もやってみる。
そして、メンバー達のフレーズやリズムを聴くよりも先に、ギターやベースの唄おうとしている歌を聴くのです。また、どこで息を吸って吐くのかということも、とても大切です。
ここまで出来るようになれば、演奏上のリズムのズレ等のミスさえ耳をコーフンさせる材料にもなるのです。
皆さんも「歌」と「呼吸」を中心とした「曲表現」をとことん突き詰めて考えてみてはいかがでしょうか?
1998年1月