27. 腕肩の重さを生かそう

 「重さを利用したドラミングの習得」においてまず大切なのは自分の手足などの重さを自身で完全に知覚する事です

 成人男性の平均的な腕の重さは片腕だけでも3~4キロもあります。これを「野球バット4本分の重さ」と言い換えると驚かれる方もいるのではないでしょうか?

(プロ野球選手が使うバットでも一本0.9キロ程度です)

バット4本
片腕だけで…

 多くのドラマー達がそれだけの重さに気づかず、しかも「手首や肘の屈伸主体の日本独自の基本奏法」で腕全体(バット4本分?)を振っているわけですから、それを支えている背筋や腰はたまったものではありません。特にハイテクニックなフレーズほど「本来ならば不要な慣性力」が「腕全体に生じてしまう」ため、かなりの負担になります。

 一般的には「腕を持ち上げて落とすだけ」とされている様ですが、まず「腕を持ち上げるための力」自体が「筋力」になりますし、ただ「落とすだけ」では“物体の重力加速度”の物理的見地からも「4分音符ぐらいが限界」のはずです。

 しかしフレディ・グルーバー奏法やモーラー奏法(ドラム・コーのものとは全く違います)は「脚、腰、肩などの回転反動力を垂直上昇力に変換」して腕全体を振り上げ、今度はそのエネルギーを“腕全体の重力加速”の「補助加速力」として叩き降ろしています

 さらにデイヴ・ウェックルなどの超一流ドラマー達の演奏フォームは、国内で正しいとされている「写真A」ではなく、「写真B」の「ポジショニング・フォーム」を使用し、腕全体の重さに“肩全体の重さ”をもプラスしています

(当スクール生の小西伴宣君です)
日本独自のフォーム
国内で正しいとされている静止的発想フォームと筋力主体の奏法では、腕や肩の重さを有効利用できないだけでなく、腕を動かすたびに揺さぶられる胴体を固定しようとするために背筋や腰に負担がかかり続ける。
ポジショニング・フォーム
一見不思議に思える超一流ドラマー達に独特なフォームの例。実際のセットドラミングでは、フレーズやダイナミクス等の音楽表現や、重さを有効利用するために最適な重心位置や姿勢は多様に存在する。


  このポジショニング・フォームによって腕と肩全体の重さは「片側だけで7~8キロ」にもなります。つまり片腕だけでもボウリングのボール(しかも一番重い16ポンド)が落ちてくる様なものです

 日本独自の基本奏法でアタックやボリュームを上げてしまうと、どうしても音色の汚さが露出してしまうため、とても音楽的とは言えなくなります。

 皆さんも海外の超一流ドラマー達のように「地響きのような音圧感の中に音楽的色気を表現する演奏力」を身につけてみてはいかがでしょうか


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両肩腕には、これほどの重さ=パワーがある

(2000年1月)